
山田先生はボイトレとして独立する前はサラリーマンだったそうですね。事前に開業後の運営について考えていましたか?

はい、サラリーマン時代に十分に準備しておくことは大事だと思います。
こんにちは、皮膚科医の玉城有紀です。 この「玉城有紀の部屋」では、私が3院のクリニックを経営する中で学んだ「生きた経営ノウハウ」や、開業に関するリアルな声を発信しています。
今回は、私が開業した時に一番衝撃を受けた「勤務医と経営者の立場の違い」、特に「コスト意識(お金の感覚)の変化」についてお話ししようと思います。

これから開業を考えている先生や、独立に向けて準備を進めている先生にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
勤務医時代には考えもしなかった「診療報酬」のリアル
途中で「開業するぞ」「独立するぞ」と決めた瞬間、脳のスイッチがカチッと切り替わります。それは、「医療以外のことも考えなければならなくなる」からです。

開業することをお考えの勤務医の先生は、 「この処置をしたらいくらになるのか」 「初診と再診でどれくらい値段が違うのか」 「今日20人診察したとして、その内訳はどうなっているのか」 ということを今から考えてみるのはいかがでしょうか?

開業すると重くのしかかる「毎月の経費」
勤務医時代は「自分がどれだけ稼いだか」に目が行きがちですが、経営者になると、クリニックを維持するためのあらゆる「経費」を支払っていくことになります。
実際に開業すると、毎月以下のような経費が掛かってきます。
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テナントの家賃・共益費
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スタッフの人件費・社会保険料
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電子カルテや予約システムの月額利用料
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医療機器のリース代や保守費用
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医療消耗品・医薬品の仕入れ値(ガーゼ、テープ、手袋など)
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水道光熱費・通信費
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広告宣伝費・ホームページの維持費
一見すると利益が出ているように見えても、実はいろいろな雑費が引かれている……。だからこそ、日々の些細なコスト管理が、最終的なクリニックの利益に直結してくるのです。


開業すると「ケチ」になる!?湯水のように使っていた手袋とガーゼ
私が一番「立場が変わったな」と痛感したのは、日々の処置に使う物品への感覚です。
大学病院やバイト先で働いていた時は、手袋もガーゼも使いたい放題。何も考えずに、湯水のようにどんどんと新しいものを使っては捨てていました。
その当時、バイト先のクリニックの先生が「手袋を使いすぎるな」という付箋を貼っていたのを見たことがあります。当時の私は、「なんてケチなことを言う先生なんだろう……」と内心思っていました(笑)。
でも、自分が開業した今なら、その先生の気持ちが痛いほどよくわかります!
開業すると、本当にコストにシビアになります。 「患者さんにちょっと薬を塗るだけなら、手袋じゃなくて指サックで十分だよね」 「ガーゼそんなに何枚も必要?」 と思う自分がいるんです。

他にも、処置に使うテープ一つとっても、 「顔に貼るなら白だと目立つから、少し仕入れ値が高くても茶色のテープにしよう。でも体なら安い方で…」 といった細かいレベルで経費を気にするようになります。

大学病院のカートに普通に置いてあるような高い物品を、開業医が同じ感覚で使っていたら、あっという間に赤字になってしまいます。

他院の見学は「お金をもらいながらできる勉強」
独立を意識し始めると、クリニックの内装や備品の見方も変わってきます。
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「このベッド、本当にこの大きさが必要なのかな?」
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「スタッフさんがすれ違う通路は、何cmの幅があればいけるんだろう?」
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「物品が足りなくなった時、どういう動線で発注しているんだろう?」
そんな些細なことまで気になって、他のクリニックのレイアウトやシステムを観察するようになります。

バイトに行きながら、先輩のクリニックの仕組みを学ばせていただく。これはまさに「お金をいただきながら経営の勉強をしている」のと同じです。

「理想の数値」を知り、仲間とシェアする重要性
クリニック経営には、ある程度の「理想の数値」があります。 「家賃は収入の何%に抑えるべきか」 「スタッフの人件費(給料)は何%が適正か」
自分のクリニックの実際の利益と、その理想のパーセンテージを照らし合わせながら経営の舵取りをしていく。それは大変な作業ですが、同時にパズルを解くような楽しさでもあります。
ただ、他の開業医の先生とこういった「リアルな数字」について話し合う場って、普段はなかなかありませんよね。

私が毎月開催している勉強会の醍醐味は、まさにここにあります。 他の先生の数値を見て、「ここの経費、ちょっと高くないですか? もう少しテコ入れした方がいいですよ」「私はこうやってコストを抑えていますよ」と、本に載っていないような生きた情報をシェアし合えるんです。

ライバルではなく、仲間として教え合い、切磋琢磨できる環境に身を置くことは、経営者としての自分を大きく成長させてくれます。
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