
皮膚科は単価が低くて儲からないって聞きますがどうなんでしょうか?

実は…
皮膚科は儲からない?
開業してから、何度もこの言葉を耳にしてきました。
同じ売上を上げるためには、単純に3倍以上の患者さんを診る必要があります。
つまり、皮膚科の開業医は「数」で勝負しなければならない現実があります。
1日100人以上を診察する日も珍しくありません。
集中して診察し続けると、正直、体力的にも相当ハードです。
「生きていけるの?」父の心配
そのときの私は、皮膚科の経営的な現実などほとんど知りませんでした。
病気の皮膚を治すことへの喜び
大学病院時代には、壊死してしまった足の治療や、全身に水ぶくれができる重症の皮膚疾患(天疱瘡)の治療にも携わりました。
そのような患者さんが少しずつ回復し、「先生、よくなりました」と笑顔で言ってくださる瞬間。あのとき感じた感動が、今も私の原点です。
皮膚科は見た目の変化がはっきりわかる分、治療の手応えを感じやすい科です。
病理組織を見て、皮膚の変化を“答え合わせ”のように確認できるところも魅力的。
「皮膚科ってすごい」と思ったあの瞬間の気持ちは、今でも忘れられません。
なぜ美容に走らないのか
近年は美容皮膚科がブームになり、「保険診療だけでは厳しいのでは?」とよく言われます。実際、美容施術を導入すれば単価は上がりますし、経営的には安定します。
でも、私が一般皮膚科を軸にしている理由はシンプルです。
美容医療を行うには、高額な機器の導入が必要
1台500万円、1000万円する機械を導入しても、数年後には新しい機械が出て、すぐに入れ替えになる。そのたびに多額の投資が必要になります。
医師への技術指導
非常勤の先生など、新しい先生が来るたびに、私自身がモデルになって3~4時間かけて施術を教えています。正直、時間もコストもかかります。
SNS発信による集客
また、SNS発信による集客も求められる時代ですが、私はInstagramでも「帯状疱疹とは」「水虫の治し方」といった真面目な投稿ばかり。美容施術を前面に打ち出すような発信はしていません。
今あるもので最大の効果を出す
当院では美容医療をしていないわけではなく、一部導入しています。
だからこそ、私は「今あるもので最大限の効果を出す」ことを大切にしています。
一般皮膚科を愚直に続けるという選択
1日100人診ることもあり、同じ説明を何十回も繰り返すこともあります。
でも、患者さんにとっては“初めて聞く説明”です。
だからこそ、毎回誠意をもってお話しするようにしています。
ニキビの診察でも、丁寧に話をすれば患者さんの表情は明るくなります。

私はこれからも、一般皮膚科を中心に、“地道に・誠実に”診療を続けていきたいと思っています。